日本は均一化社会。一般に不動産屋へ行けば、どこでも希望に近い賃貸物件を抽出して、下見に連れて行ってくれます。
物件は普通、前のテナントは既に退居しており、クリーニング済み。希望に近い物件の選択肢もいくつかあり、その中から一番希望に近いお家を決め賃貸契約に捺印、礼金○ヶ月、敷金○ヶ月、仲介料1ヶ月、前家賃1ヶ月分を支払って入居。入居した住宅になにか不具合が起これば仲介・契約を交わした不動産屋さんに連絡。大家さんに取り次いでくれます。
つまり不動産屋さんはあなたから見ると大家さんとテナントであるあなたの間に、中立の立場で存在していますよね。
ではアメリカはどうでしょうか?
賃貸不動産の仲介には2つの立場があります。大家さん側(貸手)とテナント側(借手)。
例えば、大家さんからすればテナント入居時の内装や不具合の修繕経費はなるべく押さえたい。でもテナントからすれば新品同様の状態で入居したい、何かが壊れたらすぐに直して欲しい。そうですよね?必ずも利害の一致しない2者を、不動産の専門知識、ライセンスを持ったそれぞれの立場のエージェントが自分のクライアントに最大の利益をもたらすべく仲介します。
なんでテナントである自分の立場のエージェントを付けなくては希望の物件に入居できないのか?
これはアメリカ(特に大都市圏以外)のお家の市場が売買物件が中心で、賃貸物件はとても少ないからです。言ってみると売手市場(貸す方が強い)この学区と決めたら賃貸に出ているお家はただ1軒!なんてことも多々あります。他にも沢山あるなら、わざわざ交渉しなくてもその中から条件のいいところに入ればいい。でもそこしかないから、当然入居希望する人も重なる。「すぐに保証金入れないと、次の人に貸すよ!」なんて大家さんなり、大家さんのエージェントにプレッシャーを掛けられながらも、その物件の持つ自分に不利な部分を交渉して取り除き、いかに自分と家族に取って住み易い条件で入居するか。それには大変な交渉力と不動産にまつわる法律と市場知識が必要となるからです。